2018.06.22 - 2018.07.31

トゥリー・リットヴァック

[イギリス]

ロンドンを拠点に活動しているアーティスト。創作活動において主なテーマは「表裏」である。精神、身の回りの環境や空間そのものにおける「表裏」の境界、そしてそれぞれがどう影響し合っているか考察している。
最近は、「スクリーン」(ディジタルの)世界を観察するプリズムであるようにーーその点から「表裏」を考えている。プルーストの「失われた時を求めて」の初頭を読んだ時に、トゥリー氏は陰と形態(「洞窟の比喩」に関する内容)を「表裏」の別の見方として考えていた。作品では、ユリアネ・レーベンティッシュの執筆を従い、全体の体験を構成する特定の要素の関係性、そしてそれらが影響する政治と隠れている分母を探求している。空間と場所、時間、観衆、アーティスト・共同者等はそれらの要素であり、合わせることによって、制作過程を考えるさせて、方法論を形成する。
もう一つの重要な要素としては作者論であり、その為に制作過程を通していつも共同的な取り組みをとっている。トゥリ氏は、唯一一人の作者によって作品を作るより、進行役の役目であると考え、作品を通して共同者と観覧者と魅惑する経験を作り出そうとしている。これらの関係を批判的に探求する為、作品には三つの繋がっている要素が存在する:立体的(木材や金属、展示空間からインスパイアされたレディメードや素材のこと)、パフォーマンス的(存続期間を通して、立体物がどのように影響されるかのこと例えば卒業展では、30人のダンサーとの共同を行った)、そして映像的(編集を実験することによって、直接的に作品を体験する、或は空間との瞑想的な出会いを引き起こすということ)。

滞在プラン
日本の建築における空間の分け方が「統一」を示唆することに関して、トゥリー氏の関心にも関連している。例えば、安藤忠雄の場合、内なる感情と空間は分けられないと考え、風景に合わせた作品を作っているのである。このような概念を取り入れている建築は、順番に、心の中の空間をどう影響しているか、そして空間の中に、ヨーロッパでは馴染みのある動き方とは異なる動き方にまで及ぼしているか、という問いに関心がある。その他、西洋では化粧を使って肌を隠すという考えに対し、露出し治療する日本の伝統・現代の美や治癒の習慣や理想ーーこの観点から、日本の建築の手法と類似していると、建築にも存在している「透明性=綺麗=効率よい」という考えにどのように繋がっているかにも関心がある。それらの過去・現在の習慣がどのようにテクノロジー(身体の機械化、そしてテクノロジーのヒト化に連れて、それらの習慣がどう変化しているか)と配列するか探索する予定。

滞在期間 2018.06.22 - 2018.07.31
滞在場所 AIR-2
作家HP https://www.tulilitvak.co.uk/
作家HP https://www.instagram.com/london_tokyo_y_air/