活動概要、沿革

ごあいさつ

2017年7月

芸術文化は社会と一体の不可欠なものであり、人々に潤いや気付きをもたらすものです。私たちは、芸術文化の根源である思索と表現の多様性を尊重し、芸術文化の社会的な役割とその重要性を提示することを目指します。また、活動を通して、地域性と国際性、伝統文化と現代美術という一見対比している方向を繋ぎ、多様性が自然に受け入れられる場づくりや交流を実践しています。そして、真摯に制作するアーティストの表現活動の支援と共に、地域社会の一員として、「アート活動を通した社会への貢献を」をモットーに、開かれたコミュニティーの形成に寄与することを目指します。日本の首都・東京から世界に発信し、芸術文化を通した地域社会と国際交流の活動に取り組んで参ります。

1989年から始まった遊工房のAIR活動は、30周年記念の年を迎えます。2020年の前後の5年間、これまでの滞在作家たちとの再会を可能な限り実現させ、彼らの現在に至る活動と社会背景の変化を直視し、アートがこの社会に何を寄与してきたかを語り合おうと思います。

遊工房アートスペース
共同代表 村田弘子・達彦

活動概要

東京・杉並で非営利の芸術文化活動を展開している「遊工房アートスペース」の活動場所は、1970年代まで診療所兼結核療養所であったスペースです。当初は、「スタジオ遊工房」として、美術教室や創作工房でしたが、1989年、松前財団の招聘の海外からの建築家、芸術家の受入を発端に、都市滞在型のアーティスト・イン・レジデンス(AIR)の試みを始めました。2001年には、2つの創作スタジオ、展示ギャラリー、長期滞在用レジデンス3か所、及び交流スペースとオフィスからなる施設に改装し、若く熱意ある国内外のアーティストに創作と発表、アートを通した交流の機会を提供する場、「遊工房アートスペース」としてリニューアル・オープンしました。

地域に根付いた芸術文化活動を積極的に展開する一方、幅広い視野に立つ国際交流、異文化理解の場も提供しています。アートスペース本格展開に際し、AIRの世界ネットワーク機関Res Artis(Worldwide Network of Artists Residencies、本部オランダ)に加盟、広く海外のアーティストやAIR機関との交流活動を積極的に推進しています。2012年から、遊工房と類似のアーティスト主導の独自の運営ポリシーを持つAIRを「マイクロレジデンス」と命名し、世界中に数えきれないほど存在する現実を独自のネットワーク活動により顕在化することを図っています。

運営体制は、共同代表並びに協力メンバー(5名のアドバイザー、1名の常勤スタッフと2名の非常勤スタッフ、及びインターン数名)、並びに会計監査で構成する小規模な組織で活発な活動を展開しています。

沿革

1984 創作スタジオスペース開設(東京・杉並)
「ヒロ美術の会」(創作教室)、「ヒロ文庫」(絵本を中心とした地域子供文庫)併設
1989 「スタジオ遊工房」設立(東京・杉並)松前財団招聘フェロー滞在受入
アーティストによる共同創作スタジオの運営、レジデンス構想等のアート活動開始
1990 ユネスコ「国際学生技術研修協会・IAESTE」海外技術学生のホームステイ受入開始
1996 国際交流基金招聘芸術家受入(アーティスト・イン・レジデンス試行開始、遊工房藤野分室、神奈川県藤野町)
1997 遊工房アーティスト・イン・レジデンス・吉祥寺分室開設(東京・吉祥寺)
2000 国際交流展(日本・トルコ彫刻家交流展開催)(トルコ・アンカラ、イスタンブル)
2001 「遊工房アートスペース」としてリニューアル・オープン、ギャラリー併設、(東京・杉並)アーティスト・イン・レジデンス本格開始。
「Res Artis」加盟(国際レジデンシャル・アート・センター協会、本部オランダ・アムステルダム)
2002 トロールの森・野外アート展開催(東京・杉並、善福寺公園)毎年開催イベントとして継続。
地域の小学校での土曜日教室「アートキッズ」事業開始。
地域活動のアート系NPO法人「西荻まちメディア」設立、事務局を併設。
2003 「インタラクション -日本におけるトルコ年」公式プログラムとしてアート交流展開催(京都、東京、横浜)
全国アートNPOフォーラム参画(神戸、
2004 Res Artis世界大会参加(シドニー、メルボルン)
マケドニア現代美術作家展開催(横浜)
2005 Intra Asia Network(アジア地域AIRネットワーク)発足会合参加(台湾・高雄、台北)
日蘭アーティスト・イン・レジデンス担当者交流事業参加(アムステルダム、マーストリヒト他)
Res Artis 世界大会参加(ベルリン)
2006 Intra Asia Network韓国会合参加(光州、ソウル)
「交差」ベルファースト・東京現代美術交流展開催(UK・ベルファースト)
2007 「アート・イニシアティブの創造性:芸術が行動する社会へ」事業、SHOWCASE(横浜ZAIM別館)へ参画。
2008 Res Artis 世界大会参加(アムステルダム)
J-AIRネットワークフォーラム参加(ブリティッシュカウンシル、東京)
2009 Trans Cultural Exchange北米大会参加(ボストン)
J-AIRネットワークフォーラム参加(セルバンテス協会、東京)
リトアニア交流展開催(リトアニア・カウナス)、台湾HIAW2009(台湾・花蓮)参加
2010 Res Artis Award、国際交流基金JENESYSプログラム、GTSプロジェクトなどに積極的に参画。
Res Artis世界大会参加(モントリオール)
J-AIRネットワークフォーラム参画(ノルウェー大使館他)
2011 文化庁・文化芸術の海外発信拠点形成事業に採択
東日本大地震にて、10周年事業やAIR受入を一時停止、TCE北米大会参加取止めなど
AIR事業の調査・研究本格化、マイクロレジデンスのネットワークの可能性検討開始
2012 Res Artis戦略会議参画(イスタンブール)、「マイクロレジデンス」の多様な存在をアピール。
Res Artis世界大会、東京で開催、実行委員ほか活動、マイクロ・セッション立ち上げ
UK、ポルトガル、台湾でのAIR機会、WEYA(若手アーティストの世界大会)などへアーティスト派遣。
横浜・新港ピアーHHS・シェアースタジオ、Studio Jeanグループと協働。
2013 壁画制作受託、独アーティストを招聘・完成(埼玉県寄居町)
シンガポールのマイクロレジデンスとのアーティスト交換プロジェクト(pj6581)開始
YoukoboPlus開始(インド少数民族とのアート活動、戦前生まれのピアノ修復など)
西ボヘミア大学Art Camp(チェコ・Pilsen市)への若手作家派遣開始
美大生のインターン受入開始(Y-AIR実践活動開始)
2014 マイクロレジデンス研究会、国内外AIR運営者と本格開始。(シンガポール、韓国、東京、横浜、尾道、国東)
2015 Y-AIR交換プログラム開始、London/Tokyo Y-AIR Exchange Program 両都市のStudioベースの相互交換事業(東京藝大、London藝大・CSM校)ほか
さいたまトリエンナーレ参画(HomeBaseProjectさいたま事業、Microresidence Network Forum)
2016 文化庁・アーティスト・イン・レジデンス活動支援事業として採択
マイクロレジデンスネットワーク活動事例積極化。Kultuli Kauppila Art Center(Finland)10周年事業、台湾東海岸芸術節2016参加
マイクロレジデンス・ネットワーク寺子屋海外で開催(アルメニア、フィンランド)